かがみの孤城 辻村深月

中学1年生の安西こころが、同級生からのいわれのない言葉と暴力にショックを受け、学校に行けなくなっているところ、家の鏡から「かがみの孤城」に入れるようになり、そこで同じ学校の中学生と交流し、成長していくという話。

前半部分は学校に行けなくなるほどのショックを表現するためか、陰鬱な表現が多いが、中盤からは楽しく読める。

 

「たかが学校」。とはいえ、小学生~高校生にとっては、学校が生活のほとんどを占めることが多い。友達も学校や部活の同級生ばかり。その中で孤立してしまったら復帰することは難しい。本人が復帰しようと思っても、周囲が復帰を認めなければ復帰できない。

そんな境遇になってしまったら、解決策は学校の外にある。学校の外でやるべきことを見つけ、友達を作って、日常を回復させる。本作では勉強は学校の外でするという選択肢、勉強をせずに手に職をつけるという選択肢も提示されている。(勉強しないのはハイリスクである、とも述べられているが。)

大人になっても、「たかが仕事」ということは難しい。意に沿わない仕事をやめられずに体調を崩すこともある。昼夜待機を求められ、家族や友人との旅行に出かけられないこともある。自分だけ要求された仕事ができず、同僚から笑われることもある。サポートを得られず、ひたすら考え続けることもある。

そんな時、意外とカネで解決できることがある。書籍で知識を得る、セミナーに参加しディスカッションする、職場にベッドと毛布を持ち込んだり、近くのホテルに泊まったりして睡眠時間を確保する、など。

問題に対して戦うためには、いろいろなアプローチがある。若者にはそれを伝えるとともに、自身でもアプローチ方法を探すよう心がけていくようにする。

 

 

かがみの孤城

かがみの孤城